イベントシナリオ第1回オープニング

 

『鍋を囲みましょう』

 

 水の障壁の狭まりと共に、人々の生活の場が少しずつ奪われていく。

 水の障壁の側で暮らすよりも、神殿や造船所に宿泊することを望む者たちが増えており、誰の指示でも、指揮している人がいるわけでもなく、造船所と神殿の間にある水辺に、木を組んでログハウスを建てる者たちが現れた。

 テントと変わらないほどの強度の簡素な作りではあったけれど、ここマテオ・テーペでは嵐が発生することも、大雨が降ることもないので、休憩をするのに十分な造りであった。

「大きなログハウスが完成したら、お祝いをしようって話が出てるんです。どんなお祝いがいいかなぁ」

 造船所の食堂で、片付けを手伝いながらリック・ソリアーノは、食堂のお姉さんことカヤナ・ケイリーと話をしていた。

 カヤナは港町で料理店を営んでいた家の娘であった。

 漁師たちで賑わう人気の家庭料理店だったけれど、店は既に水の中に沈んでしまい、今は両親と共に住み込みでこの造船所の食堂で働いている。

「そうねぇ……料理の手配は難しいから、鍋なんてどうかしら? 参加者に食材を1つずつ持ってきてもらうのよ」

 農業、畜産に携わっている人は、野菜や肉を。

 庭のある人は、家庭菜園で育てた野菜を少しだけでも。

 魔法学校生は授業で作物を育てている畑から、何か持ってこれるかもしれない。

 土地がない人も、釣りの知識があれば、少ないながら池魚を釣ってくることもできるだろうし、森で少しならキノコを採ることもできる。

「一緒に食べる穀物や、果物を持ってきてくれる人がいたら、更に嬉しいけど、奪い合いになっちゃうかしら?」

「大丈夫だと思うけど、警備の人にも来てもらった方がいいかな……。貴族の方にも来てもらいたいし」

「伯爵様とかも来るの? 毒見係が必要なんじゃ……」

 必然的に闇鍋のような鍋になるだろう。体に害をなす毒が入っておらずとも、高貴な人の口に合わせるのは困難だ。

「さすがに呼べないです! 姫様とか王国の兵士さんも。……でも、侍女のベルティルデさんは来てくれたら嬉しいなぁ」

「リック君のお父さんは?」

「来ると思います。あ、館の貴族の方には、父様から声をかけてもらいます!」

 共に汗を流していない貴族に関しては、町の人によく思われてはいないけれど、貴族であり伯爵の親族でもあるリックの父の誘いならば、貴族たちも参加しやすいだろう。

「そうね、大きな鍋や食器類は次の日の朝までに返してくれるのなら、ここのを持っていって大丈夫よ。私も参加してもいいかな? 美味しい鍋用スープ作っていくわよ」

「もちろんです! ここや神殿で働いている人は勿論、港町や魔法学校で暮らす人たちにも声をかけようと思ってるんです」

「食材、あまりないから、お腹いっぱい食べるのは無理かもしれないけど、立場とか関係なく、皆でぽかぽかにあったまれるといいね」

「はいっ」

 リックは目を輝かせて頷いた。

 寒い夜を楽しく温かく過ごせるよう、皆と共に準備を進めていくのだった。

 

 

イベントシナリオ第1回参加案内

 

■スケジュール

2017/03/03 オープニング公開

2017/03/05 参加チケット販売開始(アクション受付け開始)

2017/03/12 参加チケット販売終了

2017/03/13 アクション締切

リアクション公開は4月上旬を予定しております。

 

■選択肢

アクション欄には、パーティー当日の行動を自由にご記入いただくことができますが、リアクションでの描写は概ね1つのシーンのみとなります。

以下から描写を希望するシーンをご選択ください。

 

鍋の材料調達

会場設営

会場で鍋パーティーを楽しむ(給仕、警備含む)

別の場所で親しい人と少人数鍋

自室で一人鍋

 

■接触可能NPC(下記に名前の無いNPCはリアクションに登場いたしません)

・会場でどなたでも絡んでいただけます

リック・ソリアーノ(フレンの末子)

カヤナ・ケイリー(港町出身。二十歳/貴族専用鍋参加不可)

フレン・ソリアーノ(造船所所長、男爵

ジスレーヌ・ソリアーノ(フレンの姪

バート・カスタル(港町出身、公国騎士、警備隊隊長

レイザ・インダー(魔術師、魔法学校教師

ハビ・サンブラノ(魔法学校教師/貴族専用鍋参加不可)

 

・会場で貴族専用鍋に参加をする公国貴族or公国騎士のみ関われます

ベルティルデ・バイエル(ルースの侍女)

 

■ご案内

第1回イベントシナリオのオープニングを公開いたします。

イベントシナリオは、メインシナリオに参加していてもしていなくてもご参加いただけます。

時期は第1回メインシナリオと同時期となりますが、PCの状況については考えずにお気軽にご参加いただけましたら幸いです。

 

キャラクター同士の交流を楽しんだり、関係構築に役立てていただけます。

尚、NPCとの特別な関係は、イベントシナリオだけでは築くことはできません。メインシナリオで好感を持つような行動をとってから、関係進展を目指してください。

 

イベントシナリオでは、メインシナリオを進展させるための行動、提案等は採用できませんのでご遠慮ください。

リアクションはメインシナリオ第2回のアクション締切後の公開となります。

 

食材につきましては、野菜とキノコと肉、森で採れるものに関しては、現実世界で簡単に手に入るものは(少量ですが)用意できたとして持ってきていただいて構いません。

魚は池で釣れる一般的な淡水魚なら、やはり少量ですが用意することが可能です。

 

会場には鍋が複数あります。貴族専用の鍋はきちんと管理されますが、その他の鍋がどんな味になるのか、何が入っているのかは集まったメンバー次第です。

食べられないものが入ってる鍋もあるかもしれませんね!?

 

それでは皆様のアクション、わくわく楽しみにお待ちしております!