イベントシナリオ第5回オープニング
『1番早くて面白いのは誰だ! マテオ・テーペ杯!』
「んー……」
ソファーに体を預けたまま、リック・ソリアーノは自身の青紫の髪を、手でくるくると弄ぶ。
「どうしました?」
彼の姿を、ジスレーヌ・ソリアーノが心配した。
「運動してないね」
「畑仕事に精を出してますよ!」
「いや、スポーツ的な意味の運動だよ」
「確かに、スポーツは全然ですねー……」
リックは彼女の目を見て「だよね?」と言った。
「もちろん、お魚を獲ったり、野菜を育てたり、そういう『運動』はしてると思うんだ。でも、スポーツはやってない」
「うんうん」
「……ねえ?」
リックが、ジスレーヌの手を取る。
「何ですか?」
「運動会をやろう!」
「……運動会?」
「そう!」
彼は立ち上がり、もう一方の拳を握って天高く掲げた。
「マテオ・テーペ中を巻き込んだ、大! 借り物競争ッ!」
「借り物競争……!?」
ジスレーヌの笑顔がはじける。
「面白そう!」
「でしょ? 楽しいよ、きっと!」
リックが彼女を立ち上がらせて、その肩を優しくつかむ。
「早く行って、早く帰ってくればいいってだけじゃなくてさ、『面白いものを持って来ることができた人が優勝』の部門も作ればいいんだよ!」
柔らかく首を傾げたジスレーヌに向かって、つまり、とリックはあえて勿体ぶった。
「普通の借り物競争は、札に書いてあるものを借りてくるでしょ?」
「はい」
「面白部門のほうも同じなんだけど、札に書いてある内容が……『大きくて、美味しいもの』だとしたら?」
「……ん?」
ジスレーヌは、首を傾げた。
「モノの名前じゃなくて?」
「そう、そこなんだ。面白部門は、『モノの特徴』しか、カードに書いてないんだよ」
ニィッ、とリックは愉快そうに笑う。
「普通に速さを競う借り物競争は、モノの名前で良いと思う。それはそれで楽しいはずだよ。でも、面白部門は、参加したみんなのアイディアで、きっと、とっても面白くなるよ!」
ジスレーヌが、リックの袖を引っ張った。
「あのですね」
「うん」
「楽しそうじゃないですか……! やりましょう! すぐにやりましょう!」
彼女の眼が、爛々と光る。リックはガラにもなく、小さくガッツポーズを決めた。
「よし、そうと決まれば、参加してくれる人たちを集めなくちゃ! ……それと、優勝賞品、何にしようかなあ……うん……これからまた、忙しくなるよーっ!」
イベントシナリオ第5回参加案内
■スケジュール
2017/07/03 オープニング公開
2017/07/04 参加チケット販売開始(アクション受付け開始)
2017/07/12 参加チケット販売終了
2017/07/13 アクション締切
リアクション公開は8月上旬を予定しております。
■選択肢
アクション欄には、運動会当日の行動を自由にご記入いただくことができますが、リアクションでの描写は概ね1つのシーンのみとなります。
運動会は、エーヴァカーリナ池のほとり、造船所と神殿の間のあたりに設けられた『特設会場』で正午に開会宣言があったのち、タイム部門、コメディ部門の順番に行われ、夕方までには閉会式が行われる予定です。
タイム部門に参加される皆さんは、PCの引いたカードに書かれていた『アイテム』と、それを『どこに借りに行くのか』をアクション内に必ず記載してください。
コメディ部門に参加される皆さんは、PCの借りて来る『〇〇なモノ』と、それをみたPCが『何を借りに行くのか』をアクション内に必ず記載してください。
例)タイム部門の場合は『ヤカン』を『金物屋』に借りに行く、コメディ部門の場合は『お湯を沸かすもの』で『ヤカン』を連想する、などという感じです。
記載がない場合は、担当ライターが独断で設定します(いわゆるお任せ状態になります)。
閉会式の中で、タイム部門の優勝者には小さなトロフィーが与えられます。
また、コメディ部門の優勝者には、第7回イベントシナリオ(9月オープニング公開)の題材を決める権利を差し上げます(もちろん権利なので、お断りいただくことも可能です)。
※他の方と一緒に行動をする場合は、必ず同じ選択肢をお選びください。
運動会運営本部の準備、設営(テントの設置や炊き出し、タイムの計測など)
タイム部門参加(とにかく早く、指定のものを持ってくる)
コメディ部門参加(ざっくりした指定から、面白いものを持ってくる)
※優勝者の決定方法について
タイム部門は、アクションを見比べたときに、もっとも早くゴールできそうだと判断された方を優勝とします。
コメディ部門は、お題のカードの内容と、当日の『衣装』などに関するアクションの部分で、1番面白いと判断された方を優勝とします。
■接触可能NPC(下記に名前の無いNPCはリアクションに登場いたしません)
・運営、設営に協力
フレン・ソリアーノ(造船所所長、男爵。名誉大会委員長という肩書が付いた)
カヤナ・ケイリー(港町出身。炊き出し班として参加)
・タイム部門参加
レイザ・インダー(魔術師、魔法学校教師。頼みを断れずにしぶしぶ参加)
リック・ソリアーノ(フレンの末子、大会企画者だが、参加したかったので参加者としてエントリー)
・コメディ部門参加
ハビ・サンブラノ(魔法学校教師。なんだか面白そうなので参加)
ジスレーヌ・ソリアーノ(フレンの姪、大会企画者だが、面白そうなので参加者としてエントリー)
・そのほか
ベルティルデ・バイエル(ルースの侍女。伯爵の館に借り物をしに行った場合、接触可能)
バート・カスタル(港町出身、公国騎士、警備隊隊長。街に行けば、警備中のところに接触可能)
■担当ライターより
東谷です。よろしくお願いします。
今回のイベントシナリオは、マテオ・テーペの全世界を舞台にした『借り物競争』です。
『借り物競争』と言いながら、野山からとってきてもOK、自宅から持ってきてもOKの、何でもアリ状態。
魔法の使用も大歓迎です。町が壊れても池が干上がっても、うっかり館に侵入してしまっても、メインシナリオには全く影響しません!
また、メインシナリオへの参加状態や、メインでのPCの状況については、まったく問いませんし、このイベントシナリオで投獄されるようなことがあっても、笑い話で済ませてもらえます!
いろんなPCと絡んでみたい方、色々暴れたい皆様も、大歓迎です!
とにかく短時間でのゴール、スピードを競う『タイム部門』。
会場を大いに沸かせる面白いものを借りてくる『コメディ部門』。
そして選手たちを支える『運営、設営係』。
皆さんの手で、マテオ・テーペの休日を盛り上げてください!
なお、イベントシナリオでは、メインシナリオを進展させるための行動、提案等は採用できませんのでご了承ください。
それでは皆様のアクションを、こころ待ちにしております!
※今回よりメッセージカードを用いたNPCお誘いによる独占描写のシステムはなくなりました。
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