メインシナリオ/サイド第1回
『滅びを望む者たち 第1話』


第1章 警備体制

 造船所近くの山裾。一見して特に変哲もない洞窟の前に、結構な数の人間が集まっていた。
 ただその大半は年端もいかない子供たちなので、まるで傍から見ると遠足にでもきているような雰囲気だ。
 集まっているのは、魔法学校の生徒たちと引率者、協力者。彼らは魔法学校を中心とした有志で温泉、そして温泉を利用した温水プールを作ろうと集まった者たちだった。
「じゃあ、始めようか」
 その中の一人、レイザ・インダーが他の者たちを見回しながら声を掛けると、皆が辺りに散らばっていった。
 レイザは今回の企画である温泉やプール作成の発案者であり、作業の監督役でもある。
 水に囲まれたこの地では泳ぎを覚えておくのは必須とも言える。その上、施設の作成過程で様々な魔法の実践的な練習にもなるということでかなり前のめりになって発案されたアイデアだったが、その実、温泉に対してかなり下心が見え見えなのはレイザらしいというべきか。
 まあそれはそれとして、意気揚々と事前に話し合った作業に各々が取り組み始める。
「怪我には注意して、後は決められた手順通りに進めるんだぞ」
 数少ない大人であるオーマ・ペテテが、周りに声を掛けながらも自分も手を動かす。大人とは言ってもオーマもまだ19ではある。しかし、どんなことにも人手は不足しがちな現状、濾過装置の発案者としても体力、筋力面でも魔術面でも一人前と言える彼は作業の中心人物とならざるを得なかった。
 オーマの指示で作業はかなり効率よく進んでいく。作る上での苦労はいとわないという姿勢も周りのお手本となっているようだった。

「真ん中にどーんと岩壁でも隆起させて男湯と女湯分けるってのはどうかしら!?」
 人一倍肉体労働をしながらも元気な声をあげているのはメリッサ・ガードナーだった。こちらも大人として現場作業を引っ張っている。その彼女が出した意見は、レイザが反対した以外は皆の賛成を得て受け入れられた。彼女が岩を隆起させて、その他の細かい造作は生徒たちが苦労しながら作っていった。

「むぅ……全力で吹っ飛ばせれば楽ですのに……」
 そう呟きながらお湯の温度調節の練習をするのはエリザベート・シュタインベルクだ。休校日ということでいつもは自主練習にいそしんでいるのだが、魔法の訓練になるならとこの取り組みに参加したのだった。ただ、力仕事はさすがにできないということでこうして風魔法の練習を兼ねて作業をしている。
 けれど、どうしても風力が強くなりすぎてしまい、程よい風を作ることができない。
「うーん、もうちょっとこう、優しく撫でるような感覚で。後は繰り返して覚えていくしかないな」
 レイザが横で教師らしくアドバイスするが、なかなかうまくいかない。
 それどころか。
「えっと、その…も、申し訳ありません…」
 時折様子を見に来てくれるレイザを吹っ飛ばしてしまいそうになったこともあったくらいだった。
 そんなこんなありながらも、温泉&温水プールの造成は賑やかに進んでいく。
*  *  *

 領主の館と神殿を結ぶ山道には、歩道の他に馬車が通れる幅の広い道が設けられていた。
 貴族や王族は通常馬車に乗り、この幅の広い道を通って行き来している。
「さて、そろそろだな」
 外国人で体力に秀でたアズマ・キナサは、馬車を利用する必要などないのだけれど。
 今日は遠回りをして、広い道を通り神殿へと向かっていた。
 目的は噂の『お姫様』を見る為である。
「――ま、俺みてぇなよそ者とかかわる機会もねえとは思うが……頑張り過ぎてるみてぇなら、ちょっとは荷物を減らしてやりてぇな――」
 お姫様――ウォテュラ王国の姫、ルース・ツィーグラーに関しては、あまり良い噂は聞かない。だが、彼女が水魔法の使い手として、障壁維持にかなり貢献しているという話はアズマの耳にも入っていた。
「造船所では嫌われるよーなことを言ってるみてぇだが、それも遊びに行ってるわけじゃぁねぇもんな」
 気が休まる時はあるのだろうかと、間近で見たこともない姫をアズマは心配に思うのだった。
「音が聞こえて来たな」
 まだ見えはしないが、馬車が近づく音が聞こえてきた。
「っと、危ねぇぞ、こっちに来んな」
 少し先の道に、鹿が入り込んできた。
 アズマは走って近づき、森の中へ追い返す。
 直後に馬車が通った。
(あれが、姫さんか)
 茶色の髪を一つにまとめた少女が、ちらりとこちらを見たかに思ったが、ぷいっとすぐに顔を背けた。
 隣に座っていた黒い髪の侍女が、アズマに頭を下げた。
 それは、謝罪のようでもあり、お礼のようでもあり……。
「今日も頼むな。……道端の石コロくらい、どけてやっからよ」
 さて、と。
 アズマは来た道を戻り、この後彼女が向かうであろう造船所の方の見回りにいくのだった。

 日没。そう人工太陽が沈んでしまうと、この世界は暗闇に包まれてしまう。
 港町の夜間の光は、各家庭が灯すランプの光くらいだ。
「日が暮れぬうちに、寮に戻らねばな」
 長いピンクがかったブロンドの髪をポニーテールにした少女、サクラ・アマツキは目的の場所へと急いでいた。
 生活費を稼ぐために、彼女は魔法学校に生徒として通いがら、雑用も請け負っている。
 今日は授業が半日で終わったため、消耗品を買いに町に訪れたのだ。
 魔法学校から町までは結構距離があるため、そうのんびりはしていられない。
 早めに買い物をすませて、散策くらいしたいところだが……。
「っと、ここでござるな」
 いつもの店が休みだったため、今日は町外れの商店まで足を延ばした。
「水の障壁からかなり近いでござる」
 その雑貨屋は、水の障壁の側に存在していた。
 店の周りは綺麗に掃除されており、ドアには営業中の札がかけられている。
「こんにちは」
 店内には、日用品を中心に、雑貨や小物なども置かれていた。
 わずかながら、保存食もある。
「いらっしゃい」
 店の奥から姿を現したのは、二十歳くらいの黒髪の女性だった。
 化粧をしておらず質素な服を着ているが、穏やかな顔立ちのスタイルの良い女性だ。
「お姉さん、この店は障壁に近いようだが、引越しはしないのでござるか?」
「うーん、お祖父ちゃんの代からの、思い出がある場所だからね。最後までここでお店開いていたいの」
 彼女は寂しげに笑った。彼女以外、この店に人の気配はなかった。
「そうでござるか。危なくなったら、ちゃんと避難するでござるよ」
「ありがとう、気を付けるわね。それで、今日は何の御用?」
「魔法学校で使うのだが、筆記具や紙類はあるでござるか?」
 サクラが尋ねると、
「魔法学校の生徒さんなのね。私も魔法使えたら、もっと役に立てるのになぁ」
 女性は雑談をしながら、筆記具や紙が並べられている場所を教えてくれた。
 必要なものをいくつか購入してから、サクラは女性に尋ねてみる。
「このあたりに食べ物屋はござらぬか?」
「あるけれど、安くはないわよ」
 くすっと女性は笑みを浮かべ、窓をあけて飲食店の場所を教えてくれた。
 店先で焼き鳥を販売しているとのことだ。
「ありがたい。買えるかどうかわからぬが、寄ってみるとしよう」
 彼女に礼を言って、サクラは店を後にした。
 その直後だった。
「火事だー!」
 大きな声が響き、人々が走っていく。
「一大事でござる!」
 サクラは風魔法に秀でている。何か出来ることがあるかもしれないと、人々に続いて走っていくと……。
 確かに、炎が上がっていた。
 だが、煙があまり出ていない……。
(これは、魔法による炎?)
 次第に炎は、建物を焼き、煙が辺りを包んでいく。
「中に人は?」
「空き家のはずだ」
 集まった人々に火を消す手段はなく、周りから燃えるものを遠ざけていくことと、付近の人々に避難を呼びかけることしかできない。
 サクラは煙が人々のもとにいかないよう、風で上空へと飛ばす。
(魔術師による放火でござるか? だれが、何のために……)
「お譲さん、そのまま燃え広がらないよう風のコントロール頼む!」
 駆け付けた騎士団員たちが避難誘導し、火の魔法で火力を抑え、土と水を被せて消火していった。
 サクラの協力と、騎士団の迅速な消火活動により、燃えたのはその一軒だけで被害に遭った人もいなかった。
 ただ、港町での火災はこの数日で5件目だという。
*  *  *

 翌日。
 警備隊長のバート・カスタルが報告を終えて、団長の執務室から出てきたときのこと。
「カスタル卿」
 銀色の髪の美女が彼を呼びとめた。……貴族のマーガレット・ヘイルシャムである。
 マーガレットは生まれつき病弱で、部屋で本ばかり読んで過ごしてきた。そのため、肌はまるで白磁のように白い。
 彼女は大洪水以前は、随筆家として活動していた。
 今はいつかマテオ・テーペ回顧録を執筆する為に、情報を集めて書き連ねている。
「聞けばカスタル卿は港町の出とか、すると公都での私の文筆家としての名声もご存じないでしょうけど、私の書いた文章は館内でも好評ですのよ。ですので、少しお時間をいただければ」
「本はあまり読まないからなぁ。疎くてゴメン。すぐに出なければならないから、歩きながらでよければ」
 バートは歩調を緩め、マーガレットと並んで歩く。
「ここに籠っていると良くわからないのですが、町の治安はどのような状態なのですか?」
「洪水前に比べて悪くはなったけれど、重犯罪はさほど多くはない」
 小さなもめごとはかなり頻繁に起きているらしい。
 窃盗や、猥褻行為も。
 ただ、今のところ故意の殺人は起きていないとのことだ。
「警備隊の隊長として、今後はどのように活動をしていくおつもりですか?」
「そうだな……何分、人手が足りないから、騎士団の警備隊はここと神殿警備に重点を置かざるを得ない。そうすると、港町の警備が行き届かず、治安が悪くなっていってしまう。
 障壁を張っているのは、水の魔術師たちだけれど、この地を支えているのは港町の皆だから。港町の治安維持にもっと……いや、それも大事だが、皆の心のケアこそ大事なんだろうなと思ってる」
 ただ、自分にできるのは警備体制を整えること、だけなのだけれどと、バートは苦笑した。
「そうですね。大洪水で皆様親しい人を失っていますから」
 ですが、とマーガレットは続ける。
「故人を想い嘆き悲しむことなど時間の浪費、生き残った私たちがすべきは、今この瞬間確かに生きていたことの証を後世に残すこと。その為の努力を惜しまないことだと私は思っております」
 マーガレットはしっかりとした口調でそう言いきり、目を細めて微笑み、バートを見上げた。
「カスタル卿のお考えもぜひ伺いたいですわ」
「君はなんていうか……達観した考えを持ってるんだな。
 確かに今は、嘆き悲しんでいる場合じゃない。生き延びて、そして海上にいる人たちと再会し、力を合わせて町を、国を、世界を復興させていくんだ。その為の努力を惜しみはしない」
「避難した人たちが生きていると信じているのですね」
 マーガレットの言葉にバートは強く頷く。
「生きているさ。バリ……弟が乗った船には、経験豊富な熟練の船長と、町一番の有能な航海士が乗っている。そして、あいつも」
「あいつ?」
「ラルバ・ケイジ。俺の幼馴染でライバル。例え海賊に襲われたとしても、あいつが皆を護ってくれる」
 バートの眼は揺るぎがなく、確信に満ちている。
「ただ、警備隊の隊長に就任した以上、俺がここから離れるのは最後だ。だから、避難した弟と再会するのはずっと後になるだろう」
 言って、バートはマーガレットを優しい目で見た。
「君のことも俺がちゃんと送りだすから、生きて弟のもとに先にたどり着いて、そして伝えてくれ。お前の兄貴は最高に立派な男だぞと」
「……ええ、もし私の方が先に会うようなことがありましたら、弟様に書き記した本をお渡ししますわ」
「頼んだぞ!」
「お気をつけて」
 館の玄関にたどり着き、マーガレットは外には出ずにバートを見送る。
「バート・カスタル卿……ノーマークの方でしたけれど、良い話が書けそうです」
 構想を練りながら、マーガレットは歩き出す。
 避難した愛弟と、親友の間に芽生える愛。悲しみの果てに求め合う二人。そして再会――!
「っと、その前に、執筆中の話の新展開の方が先ですわね。……若き騎士の登場で二人の蜜月関係に微妙な波風が……」
 呟きながら、マーガレットは自室へと戻るのだった。

「隊長……今朝の、報告です」
 館の前で、ナイト・ゲイルがバートを呼びとめて、書類を差し出した。
 朝の見回りを済ませた後、一旦館に戻ってまとめた報告書だ。
「昨晩の火災にる影響は出ていませんが、皆、不安なようです」
 数日前、犯罪者が収容されていた倉庫が全焼して以来、港町で火災が相次いでいる。
「先日の犯罪者が収容されている倉庫の火災ですが、遺体は人数分ありましたか?」
「いや、犯罪者を含め、遺体は一切見つかっていない」
 バートは報告書に目を通しながら、答える。
「となると、犯罪者を逃がすための放火でしょうか……こちら側の被害は?」
 ナイトが当日の警備体制について尋ねると、驚くべき答えが返ってきた……。
「火災が発生した時間、警備員は誰も倉庫の近くにいなかった」
「一人も!? なんてお粗末な警備体制だッ」
「騎士団の警備は、どうしても要の神殿や造船所、伯爵の館付近がメインになる。
 港町までは多少距離があるし、常駐が常に2人くらい。夜間は詰所に1人、見回りが1人で限界だ」
 それでも3勤交代制で6人は警備隊から人員を割いている。
 警備に携わっている騎士の人数が20人ほどなのだから、これ以上港町に人員を割くのは難しいという状態だった。
 また民間の警備員なども現在はいない。
 警備に携わる人員が増えるということは、食糧の生産に携わる人減るということ。
 そして、騎士団員が増えれば、税が増えて、やはり人々の生活は今以上に苦しくなってしまうのだ。
「それで、倉庫の火災の時には油は使われていたのかでしょうか」
 ナイトは丁寧な口調で長く喋るのが苦手だ。
 言葉づかいを気を付けてはいるが、つい本来の乱暴な口調が出てしまうことが多い。
 だから、言いたいことを上手く伝えられないことも多々あった。
「いいよ、普段の喋り方で。会議とか正式な場では困るけど」
 バートは苦笑しながら言い、ナイトと共に歩き出す。
「油の類は使われていなかった。あの炎も最近の火災も火の魔術によるものだ」
「あの倉庫を全焼させて犯罪者を逃がすことなんて出来んのか? 複数犯だろうか」
「わからない。ただ、単独犯だとしたらかなりの使い手だ。少なくても、俺の知る限り、公国騎士や港町の人で出来る奴はいない」
 当時、館で暮らしている貴族、王国の者で、町に出ていた者もいなかった。
「倉庫の内部の構造を知ってた奴は? 犯罪者を逃がすのに打合せもなく内部の構造も知らないとは考えられねえ」
「内部の状態なら、知っている人は沢山いる。食事の提供なんかは、町の人が交代でやっていたから」
 つまり、誰にでも知られているということだ。
「兎に角、他の犯罪者が収容されている倉庫の警備を厚くしておく必要があるな。あと、対抗手段を用意したい。なんかねえのか?」
「対抗手段……対抗できるのは、優れた火の魔術師。うーん、レイザくらいしか思い浮かばん。まあ、一応奴には話しておくか」
 バートは大きくため息をついた。
「火の魔術の犯罪が一番厄介なんだよな」
 他の属性の魔術師ならば、優れた使い手であっても、使い手を退ければ魔法の効果は消える。容易ではないが、術者が見えずとも魔力の流れから術者を見つけ出すことも出来なくはない。
 ただ、火は違う。
 燃え移った火は、魔術師の集中が途切れても、逃走した後でも、残り続け、燃え広がっていくのだ。
 だから、人々を護るために騎士団としては術者を追うことよりも、消火、避難活動が優先となってしまう。
「治安維持の為、んで皆の生命線である水の障壁と人工太陽を守るために、港町や魔法学校の人間との情報交換の場を定期的に設けたい」
「そうだな。大事件に繋がりそうな事件ではあるが、俺は立場上この件だけを優先することはできない。
 騎士団と港町や魔法学校関係者との情報交換や連携については、お前に一任するから指揮をとってくれ……と言いたいところだが、お前コミュニケーション能力皆無だからなぁ。とりあえず、お前にはパートナーが必要だ。魔術に優れたパートナーがな」
 行って、バートは真っ直ぐにナイトの目を見た。
「じゃなきゃ、お前はこの事件で誰も守れない」
 バートの言葉は、ナイトの心に重くのしかかった。
 ナイトにないのは、コミュニケーション能力だけではない。
 彼には魔力がない。だから彼個人には魔術師に対抗する手段がない。
 魔力がなければ、発動系の魔法具を扱う事が出来ない。
 魔法抵抗力もなく、魔法攻撃に非常に弱い。
 そして良くも悪くも、魔法薬が効かない。
 ただ、補う相手がいたのなら。
 感知されることなく、誰よりも速く敵にもとにたどり着き、討つだけの力を彼は持っている。
*  *  *

 港町、魔法学校生を集めての治安維持対策会議が開かれた後、造船所所長フレン・ソリアーノのもとに、魔法学校生のロビン・ブルースターがリック・ソリアーノと共に訪れた。
 ロビンは会議で貴族の子弟が犯罪者に利用される危険性を知って、未然に防ぐためにリックと行き帰りだけでも共にしたいと、リックの父親であるフレンに提案に来たのだ。
「ちょうど同じような提案があったところだ」
 フレンの側には、造船所で働くエイディン・バルドバルの姿があった。
 エイディンは港町で起きている火災に不穏なものを感じ、造船所でも治安の維持に取り組もうと提案していたところだ。
 こんなときだからこそ、騎士だけに任せるのではなく、各々が出来る範囲で取り組んで乗り切ろうと。
「当面子供達の単独行動は控えた方がいいと思う。キミもまだ若い。神殿への道中一緒に行ってもいいか?」
 エイディンの言葉に、ロビンとリックは顔を合わせた。
「魔力についてはさっぱりだが、見てくれ通りの力はある。俺にも協力させてくれないか」
 エイディンは巨漢で強面、そして体には傷が沢山あって。近寄りがたい外見をしていた。
 だけれどリックは彼が優しい目で自分を見てくれていることに、気づいていたから。
 勿論というように、大きく頷いた。
 そしてロビンも、外見からは少々恐怖を感じたけれど、エイディンの真っ直ぐな目と言葉に嘘偽りはないと感じた。
「是非よろしくお願いします」
 そう言って、ロビンは頭を下げる。
「お願いします!」
 ロビンにならって、リックも頭を下げた。
「ありがとう」
 2人より深く、エイディンは頭を下げ、そんな3人の様子にフレンは笑みを浮かべた。
「それじゃ、頼む。リック、お前はホントいつまでたってもガキだからなぁ、お2人に迷惑かけんじゃねぇぞ」
「はい、では神殿にお手伝いに行ってきます」
 そうして今日は3人で、神殿へ向かう事となった。

(エイディンさんの目からは嘘は感じなかったけれど、知っている人でも注意していかないと)
 歩きながら、ロビンは行きかう人や、近づいてくる人に注意を払っていた。
(視線や言葉、細かな挙動をしっかりと観察して、誘いや罠にはまらないよう不審な点には、僕が気付かないと)
 多分リックは、人の悪意に疎いだろう。
 そして、もしかしたらエイディンも。彼の目からは優しさを感じたから。
「何かあった時、水の魔法で防御する方法ってあるかな? リック君はそういった魔法の使い方知ってる?」
 ロビンとリックは共に水魔法を得意とする魔術師の卵だ。
「うーん、わからないです。水の弾を顔に当てて、目くらましするくらいかなぁ」
「ではもしものときは、俺が盾になる。2人は俺の後から支援を頼む」
「ありがとう! でもエイディンさん、無理はしないでくださいね。相手が魔術師だった時は、僕達がエイディンさんの盾になりますから!」
 エイディンは見ての通り体力面では非常に優れているのだが、魔力がなかった。
 故に、物理的な攻撃以外の魔法攻撃にはかなり弱いはずだ。
「狙われる可能性があるのはリックなのだから、前に出てもらっては困る」
「大丈夫。僕が狙われるとしたら、攫って交渉をするためだと思うんです。だから、あんまり酷い事してこないんじゃないかな」
「ええっと、リック君だけだと高さが足りないから、僕がリック君を肩車して、バルドバルさんの盾になります! そして危なくなったらそのまま逃げます」
 リックとロビンの言葉に、エイディンが顔を綻ばせる。
「頼もしいパートナーだ」
 ぽんぽんと二人の頭を手を乗せると、2人の顔に笑顔が広がった。

 3人は馬車を使わずに、他愛無い話をしながら、山道を登って神殿へとたどり着いた。
 その日は特に、何事も起きなかった。
 ただ、1度だけ――。
 エイディンは何者かの視線と気配を感じたことがあった。
 その気配からは殺気を感じることもなく、近づいてくることもなく、じきに離れていった。
 その日も、翌日もリックの周りでは何事も起こらなかったが、警戒を怠ることはなく、常に集団での行動を心掛けるのだった。


第2章 領主の館

 警備団員以外でも、犯罪者収容倉庫火災事件について情報を集めている者がいた。
(脱走しても逃げる場所なんてないだろう)
 薬師の息子であるリベル・オウスは、薬を売り歩いて生活をしている。
 薬を売り歩きながら、出火した倉庫や建物を巡り、観察しながら考えていく。
 中にいた犯罪者は生死不明とだけ聞かされていた。
 他の場所に移したという話も聞いておらず、病院に収容されているわけでもなさそうだ。
 となると、逃走中と考えて間違いないだろう。
(目的はなんだ? ココは脱出不可能な孤島のようなモンだ。ここでそんなリスクを犯すほどの理由は……)
 箱船計画に関してだろうかとリベルは考える。
(完成しても乗せてもらえず置いてかれると思った結果トチ狂って脱走して暴動を起こすつもりか?)
 リスクに見合った妥当な理由はそんなところうとリベルは思った。
 何をするにも手勢が必要だ。同じ目的を持つ者。
(港町の他の犯罪者が収容されている倉庫もそうだが、それだけじゃねえ)
 もっと凶悪な犯罪を起こしそうな輩――魔法能力に優れた犯罪者が掴まっていそうな場所として、リベルは領主の館へと動向を伺いに向かうことにした……。

 領主であり、この閉ざされた世界、マテオ・テーペの統治者であるアシル・メイユール伯爵との面会を求めて、今日も館に訪れる者がいた。
 しかし伯爵は多忙であり、一般人からの相談を受け付けられる状態ではないということで、多くの者は門前払いであった。
「では、言づけをお願いできませんか? ご本人ではなくても構いません。提案があるのです」
 医者であるノア・ラメールはすぐには引き下がらず、メイドと交渉をしていた。
 メイドにそんな権限がないことは分かってはいたけれど、話だけでもどうしても領主に通してもらいたいことがあるのだ。
「ミーザ、何をしているのですか? お帰りいただきなさい!」
 館の中から厳しい声が響いてきた。
「私、仕事に戻らないと……すみません、帰ってくださいっ」
 メイドは強引にドアを閉めようとした。
「なんだ?」
 と、その時。ノアの後ろから声が響いた。
 振り向くと、館の管理を任されていたという男性、レイザ・インダーがいた。
「レイザ様、この方、お医者様で何かご提案があるそうなのですが、お通しするわけいはいかず……」
 メイドはすがるような目をレイザに向ける。
「女医か」
 レイザはノアを上から下まで眺めたあと、こう言った。
「俺で良ければ話を聞くが?」
「お願いします」
 そうして彼女は館の応接間に通されたのだった。

「民の健康は国の活発にも繋がります」
 彼女の提案は、土壌の改善や自然物活用ラインの確保に関しての提案だった。
 一通り話を聞い後、レイザはそれは伯爵に提案すべき話ではないと答えた。
「土壌の改善なんかは、現場に提案した方がいい。つまり、町の産業を仕切ってるアルザラ家にだな」
「そうですが、それだけではありません。ほんの少し、魔法鉱石をお借りしたいのです。鉱石自体が得られないのなら、それに変わるものを自然物から作り出せないかと思っています」
 民の健康の為に。治療に役立てたいのだとノアは話す。
「魔法鉱石は魔力の結晶のようなものだ。自然物から似たものを作りだすのは無理があるな。ただ……」
 レイザは少し考えた後、言葉を続ける。
「魔法薬を作りたいというのなら、協力できないこともない」
 魔法薬とは、普通の薬に魔法効果を持たせた薬である。
 魔法鉱石と薬学の知識を持つ魔法化学者、もしくは魔法鉱石に精通した魔法化学者と薬師の協力により作成できる薬だ。
「鉱石に関しては専門外だが多少の知識はあるし、あてもある」
「ですが、肝心の魔法鉱石はないのでしょう?」
「試作には、俺の部屋にある照明の鉱石を使う。成功後については、考えておく」
 港町に魔法具は残っていないが、この館や魔法学校の一部施設には、魔法鉱石を燃料とする調理器具、照明器具などの魔法器具が存在している。
「協力してくれるのなら、今度は俺を訪ねて来い。ただ、この件は信頼できる奴にしか話すな」
 特別な力の存在は、禍をもたらすものだから。
 魔法薬にすがりたい人はこの空間に多くいる。今は広めるべき時ではない。

 その話の後、ノアは帰路についた。
 医者として、すべきことは沢山ある。
 午後からは野外や、貧しい暮らしをしている人々のところに行き、治療のために回る予定だった。
 マテオ・テーペの外へ行くことは有用かもしれないけれど、そもそも外へ行くにしても民が弱っていては意味がないと、ノアは考える。
 だから、今はこの小さな世界が彼女の生きる場所なのだ。
 人ある限り、そこがノアのあるべき場所だった。
「こんにちは~。気持ちの良い日だね」
 道ですれ違った不思議な雰囲気の女性、トゥーニャ・ルムナが挨拶をしてきた。
 トゥーニャは溢れるほどの魔力を持った女性だけれど、魔力を知らないノアは何も感じない。
「こんにちは、素敵な一日にしましょうね」
 ノアが微笑んで言うと、トゥーニャもにっこり笑みを浮かべた。
「うん」
 すっと、トゥーニャはノアの隣を通り過ぎると、ふわりとノアの髪が揺れた。
 不思議な風は領主の館の方に向かっていった。

「お嬢様、まもなく造船所に着きますが、お寄りになりますか」
「えっ!?」
 シャンティア・グティスマーレは、召使いの言葉に驚いて読んでいた本を落してしまった。
「そちらではありません。人がいないところといいましたでしょう」
「いえ、ご指示通りに進んでおりますが……」
 シャンティアは引きこもりの箱入り娘である。
 親に嫌々外出させられ、馬車で移動中であったが、彼女の行きたいところは自室のみで、出発させられた直後から、帰る事ばかり考えていた。
 召使いに行先を訪ねられても、あっち、こっちと適当に誤魔化していたのだが、本に夢中になっている間に、造船所近くまで来てしまったらしい。
「とにかく反対の方向に向かってください」
「畏まりました」
 召使いが御者に指示を出し、馬車は来た道を戻りだす。
(このまま帰るのです。もう十分外出しましたもの!)
 帰らせてもらえないのなら、隙を見て脱出して、逃げ出すつもりだった。
 本を拾って、チャンスをうかがっていたところ。
 突然、馬車が止まった。
 まだ館までは少し距離がある。だけれど、とにかく逃げ出したいという気持ちが勝り、シャンティアは馬車から飛び出した。
 その直後。
 シャンティアは強い衝撃を受けて、吹き飛んで転んだ。
「炙り出す手間が省けたぜ」
「な、なんですの……っ、ん……っ」
 のしかかられ、強い力で口をふさがれる。集中する余裕も、体力もないシャンティアに抵抗する術はなく、彼女の意識が遠のいていく。
「お嬢様、うああああっ!」
 駆け付けようとした従者が、別の男にナイフで切られた。
「あなた達、何をしているのです」
「出たな、屑野郎共」
 騒ぎを耳にし、近くを歩いていたノア、そして張り込んでいたリベルが駆け付ける。
「今度はブタ箱じゃなくあの世に叩き込んでやる」
 リベルが香辛料を詰めた玉を、馬車の近くにいる男に投げつけた。
「その娘を離しなさい!」
 ノアはシャンティアを襲う男に、体当たりを食らわそうとしたが、逆に転ばされ組み敷かれてしまう。
「ゲホッ」
 香辛料の玉を受け、咳き込む男にリベルはボーラを投げつける……が、突風で手元が狂う。
「ギャッ」
 絡み付きはしなかったが、錘が男の腕を殴打した。
 その次の瞬間。
 馬車から炎が上がった。
 周囲の森からも。一瞬にして、辺りは火の海と化した。
「女は連れて行く。男は殺せ」
 そんな声が響き、熱い炎と風の刃が周囲を乱舞する。

 リベルは、森の中へ逃げていた。
 服を焼く火を叩き消すだけで精一杯だった。
 火傷だけではなく、風の刃による傷も体に刻まれている。
「ち、くしょう……っ」
 呻きながら倒れ込み、意識を失った――。
*  *  *

 山の中にある、忘れられた山小屋に犯罪者たちが集まっていた。
「悪い。デカイ護衛と、魔法学校生がずっと一緒にいて、近寄れなかった」
 港町の住人であるウィリアムは臆した風を装いながら、そう報告をした。
 先日、港町で彼はアーリー・オサードという女性に誘われて、ここにいる。
 夢も希望もなにもない、こんな世界を一緒に終わらせようと。
 ウィリアムは彼女に……彼女が匿う犯罪者に同調することはなった。
 だけれど、彼らの境遇に同情し、仲間として一緒に行動することにした。
 最近は造船所で働いていたため、所長で男爵のフレン・ソリアーノの末子、リックの誘拐を頼まれていたのだが……。
「役に立たねぇな。ホントに死ぬ気あんのか?」
 そんな仲間――クダンの言葉に、思わず苦笑する。
 彼は堪能ではないが、風魔法の使い手であり犯罪者メンバーのリーダー的存在だった。
「いやマジで、ホントにアンタらよりずっと凶悪そうな男がついてたんだよ。仕方ないだろ」
 声を震わせてウィリアムは言い、そんな彼の様子に犯罪者たちはやれやれといった表情を浮かべる。
「あ……そっちは成功、したのか」
 もう一つ存在する部屋から、女性の声が聞えてきた。
「ああ。だからリック・ソリアーノはもういらん。女の方が楽しめる」
 にやりと、クダンは笑った。
 耳を澄ませば、ドアの先から荒い呼吸音とうめき声が聞える。
 ウィリアムは密かに、ぎゅっと拳を握りしめた……。
*  *  *

 事件が発生した日の早朝――。
 領主の館の外れに、堅牢な造りの建物が在る。一般人には知られていないが、ここには重犯罪者と魔力の高い犯罪者が収容されている。
 館には結界が施されており、この中では魔法の発動が出来ない。
 館の管理者はアゼム・インダーとなっているが、高齢で痴呆が進んでいる彼に管理する能力は無く、騎士団員が交代で看守を務めていた。
 アゼムは優れた火の魔術師であったことから、彼自身も付き添いと共に、この館で暮らしている。
「お疲れ様、交代の時間よ」
 騎士のアディーレ・ペンペロンが交代の時間にその館を訪れると、椅子に座り何やら考え事をしているラトヴィッジ・オールウィンの姿があった。
 アディーレは騎士団長と共に洪水時に訪れていた騎士であり、ラトヴィッジは元々この地域の警備に当たっていた騎士だった。
「ん? ああ……それじゃ、よろしく」
 ふらふらと立ち上がり、ラトヴィッジは出て行った。
(いつもなら、仕事が終わったらお茶でもどう? と声をかけてくるのに)
 明らかに元気がなかった。
 体調でも崩したのだろうか?
 ……それとも何かあったのかなぁ……。
 そんなことを考えながら、アディーレは仕事を開始した。

「不満くらいは聞いてあげるよ。お姉さんに話してみなさいな」
 朝食が終わり、配膳を手伝う者が皆いなくなってから、アディーレは囚人たちの話を聞いて回っていた。
 ドアを開ける鍵は持ち出さず、ドアに設けられた小窓からである。
 牢獄として作られた建物ではないため、各部屋は旅館の客室のような造りになっているようだ。
 囚人たちの口から出る「飯がマズイ」「娯楽が欲しい」という要求には、食事を戴けていることに感謝しないさいと、軽快に返しておく。
 中にはアディーレをからかってくるものや、下世話な会話をしてくるものもいたが、
「そんなことばかり言ってると、いつになっても出られないわよー」
 と、明るく返しておいた。
 ただ、ここには重犯罪者と、魔力が高い犯罪者が収容されているのだが……この2年間で、解放された者は誰も居ないようだ。
(大した罪でもなく、正しく力を使えば、皆の助けになる人達であっても……出られないのよね)
 大洪水が起きて2年。
 その間の混乱の中で、意図せず、生きる為にやむを得ず、犯罪行為をしてしまった人も少なくはないようだ。
 有為な人材を無為に消費することが無い様、また市民の不満の矛先が彼等に向かない様に、なんとかうまく社会復帰させることはできないのだろうか。
 アディーレは彼等の現状について上官に報告をし、判断を仰ごうと思っていた。
 そんな矢先。
 事件が発生した。

 貴族を乗せた馬車が襲われ、火災が発生した事件で、容疑者として捕縛されたのは、トゥーニャ・ルムナという港町の女性だった。
「ぼくは何もしてない。ただ、散歩してただけだよぉ……」
 彼女の主張は聞き入れられず、直ぐにこの外れの館に連れてこられ、部屋に監禁された。
 この館には、魔術が使えなくなる結界が張られており、魔力が命の源となっていると言っていいほど、魔力のみの能力しか持たないトゥーニャにとって、非常につらい空間らしく、館に入るなりぐったりとしてしまい、まともな会話も出来ない状態に陥っている。
「彼女のことはあたしも見かけたことがありますが、どういうことですか?」
 アディーレは彼女を拘束して連れてきた騎士団員に尋ねた。
 トゥーニャは事件が発生した時、現場の近くにいたそうだ。
 団員がここを訪れた目的を訪ねても、お散歩としか答えず明確な目的を言わなかった。
 今日だけではなく毎日のように造船所や館、魔法学校といった要の施設に現れる要注意人物として、兼ねてより彼女は騎士団にマークされていたのだ。
 彼女が警戒されていた理由はその異常な魔力の高さにある。
 今回の事件において、現場に風魔法が使われた形跡があることから、犯罪に加担した可能性があるとして、彼女は拘束された。
「全く抵抗しなかったし、彼女は白だろうな。だが、容疑晴れてもここから出してはもらえないだろう」
 ひとつ、これで脅威が減ったと、その騎士は苦笑交じりに言った。
 魔力が異常に高く、そして他者との信頼が築けてない人物は、人々にとって脅威である。
 いつ、爆発するか分からない爆弾が、町中に置かれているようなもの。
 トゥーニャのように体力のないものは、災害を起こしたとしても一瞬しか体がもたないが、魔力が高く巧みな魔法技能を持ち、体力もあるものは特に注意が必要だ。
 神殿の水の障壁を維持するために用いられているシステムや、各部門の長が管理する魔法具を利用されたのなら、この小さな世界は簡単に滅びてしまうだろう。
「疑わし者も、ここに集めて管理しておく。それしか方法がないんだよな、今は」
 素行に問題がないと判断し、魔力の高いものを解放してもその人物を監視する人員がいない。
 更生した素振りをして、その者が障壁維持や、人工太陽の打上げに加わったのなら。
 彼等がこの小さな世界に害をなそうとその力を使おうとしたとき、それを止めることが出来るだろうか。少なくても止めるために多大な犠牲が出る。
「うーん」
 アディーレは腕を組んで考え込む。
 自分には、更生すれば釈放されるという希望を彼らに与えることもできないようだ。
 ただ、彼等に信頼できる身元引受人がいれば別である。
 ここにいる魔力の高いものたちは皆、天涯孤独であった。
「本当に何もしていないのなら、きみのこと良く知っている人に、来てもらうと良いよ。呼ぶくらいは、あたしにも出来るから」
 トゥーニャにそう声をかけるくらいで、精一杯だった。
 あともう一人、気になる娘がいた。
 アディーレの問いかけに、怖い、ドアを開けて、部屋に入ってきてとだけ答える娘がいるのだ。
 長い監禁生活で、精神的に参ってしまっているのか。
 それとも何か他に目的があるのか……。ドア越しでは判断ができなかった。
*  *  *

 その日、親の脛かじって怠惰に生きているダメ貴族、ロスティン・マイカンは、犯罪者の朝食の配膳を任されていた。
 適当ダメ人間なくせして、何故か彼は昼の配膳も喜んで引き受け、そして夕方……。
「あ、侍女のねーちゃん飲み物ある? できれば瓶で欲しいのだけれど」
 ふらふらと敷地内を散歩した後、ロスティンはメイドに飲み物を用意してもらい、そして部屋に籠った。
「差し入れの飲み物よーし、貴族様御用達の外面スマイルは……多分大丈夫だな。
 さて、彼女に会った時のセリフを考えないとな」
 そんな感じで、鏡の前でロスティンはとある少女に会うことを心待ちにし、準備と練習に励んでいた。
「『お嬢さん私が来たから大丈夫ですよ(キラっ)』よし、こうだよな」
 いや待てよ、暗くちゃ顔が見えない。
 ランプを持っていかなきゃな。
 光の角度も重要だ!
 ……そんなこんなで、準備を済ませて彼が部屋を出たのは深夜だった。

 同日。
 騎士のカル=ウィルは、館で働く若い使用人たちと夕食を共にしていた。
「それでは君たちは洪水前からここで働いているのか?」
「そうです。アゼム様達のお世話をしたり、お掃除したり、庭を整えたり、私達が交代でやってた仕事なんですよ。それなのに、領主さまと一緒にやってきた、メイド長のおばさんに仕切られるようになって、もうサイアク! この館のことなんて何も知らないくせに、偉そうに」
「来月は外れにある館の大掃除をやるんですけれど、これは騎士団の人が指揮ってくれるらしいので、安心してるんです。担当される場合、よろしくお願いしますね」
 外れにある館というのは、犯罪者たちを収容している館のようだ。
「あそこが出来たのは、洪水の後か?」
「ううん、その前からあったよ。当時からあそこで暮らしている人いるはず。
 あそこの部屋のいくつかを、レイザ様が私室として使ってたから、レイザ様のお友達かしらね」
「年齢的にはアゼム様のご友人っぽかったけど」
 伯爵の親戚であり、優れた魔術師であるアゼム、及びレイザ・インダーが管理する堅牢な造りの館。
 そこで暮らしていた老人……。
(監視していたのか、それとも護衛してたのか)
 カルは密かに思考を巡らし、それとなく尋ねていく。
「今のその人たちはあの館の中にいるのか?
 アゼム様たち以外では、監視に携わる騎士団員と食事の配膳に携わる貴族の他に、館に出入りする人は見たことないんだが」
「どうかな。去年の大掃除の時にはいたけど」
 この別荘では、毎月12か所の大掃除を順番に行っており、来月の外れの館の掃除は1年ぶりとのことだった。
「ね、ミーザ、来月の掃除のときにレイザ様のプライベートな何か、見つかるかもしないわよ」
「ええっ、そ、そんなの、期待してないもん」
「この子ね、レイザ様の大ファンなんです。皆で夜這いをかけろー既成事実作っちゃえって進めてるんだけど、奥手なのよねー」
「やめてよっ、そういう不純なこと考えてないもん。でも……お仕事ちゃんと頑張って、レイザ様の身の回りのお世話が出来るようになったらいいなって思ってるんです」
 ミーザと呼ばれた少女は、恥ずかしそうな笑みを浮かべた。
 不満はあるものの、使用人たちは楽しそうにしていた。


第3章 魔法学校の子供たちと

 しばらくたったある日のこと。
 その日は温泉とプールの大まかなところができたということで、仮のプール開きをしようということになっていた。
「脱衣所はあのままなんですか?」
 順調にプール開きを迎えることができて満足げなレイザに、オーマがずっと気になっていたことを聞く。指差すその先には、簡易的なテントが張ってあった。それが今のところ脱衣所代わりとなっているのだった。
「あのテント、もっときちんとした更衣室にしないんですか? そうすれば例えば、そこにパイプを通してお湯を流して部屋を暖めるとかもできるかもしれないし」
 それは、造成中からずっと考えていたアイデアだった。
「んー、パイプを引くのは難しいかもしれないが、お湯を引きこんで暖めるというのはいいかもしれないな――それよりお前、この間話してた夜間の明かりについてなんだが、警備隊へ提案してみたらどうだ? ちょうどお前のような人材が欲しいみたいだから」
 レイザはどうも乗り気ではないような雰囲気で、話を変えてくる。しかしその話題そのものはオーマが本来実現したいものだった。詳しくは、警備隊長であるバート・カスタルのところへ行って聞くように言われる。
「――さあ、プール開きだ! 今日はとりあえず授業のことは忘れてめいっぱい遊んでいいぞ!」
 改めてレイザが生徒やその他集まった有志たちに声を掛けた。歓声が上がり、着替え終わった皆が思い思いに温泉プールに飛び込んでいく。

(作業を手伝った手前、来てみたのはいいけれど、馴れ合いをするつもりはないですわ……あっちなら浅そうだし、一人でゆっくり入ることにしましょう)
 そんな中で心の中でそうつぶやきながら、賑やかな集団から離れて歩き出したのはエリザベートだった。あまり騒がしいのは好きではないし、何より一身上の問題でそんなに深いところには入れない。
 ちょうど岩陰になっているところで少し隠れる事ができる場所を見つけて、そっと水面を覗き込む。しかし、そこはちょっとまだエリザベートにとっては少し深いように見えた。
 その時だった。
 突然、エリザベートの肩が後ろから強く掴まれる。いや、実際は手が軽く置かれただけだったのだが、エリザベートにはそうは感じられなかった。
「っ…きゃああああああっ!?」
 いきなりの事で驚いたエリザベートはその人物に向かって風魔法を解き放ってしまう。それは温泉の温度調整で練習したような優しいものではなく、彼女の全力を込めた一撃だった。
「ちょっ!? いきなり何だ……!」
 驚いて飛びのいたのはレイザだった。彼は保護者代わりとして、一人集団から離れた子供を心配して声を掛けようとしただけであった。しかしその結果、予想外の一撃を受けることになってしまったのだった。
「って……ああっ!?」
 さらに続くレイザの声は、大きな水飛沫とその音によってかき消される。反動でよろけたエリザベートがそのまま水に落っこちたのだった。
「っぷ……! た、助け……!! 足が、つかな……!!」
 同年代の中でも決して高くはないエリザベートでは足がつかない水深。さらに、いきなりの事態で混乱して暴れてしまい、溺れかかってしまう。
 慌てて助けようとするレイザ。
 その脇を、人影が走り過ぎた。温泉プールに飛び込む水音がそれを追いかけるようにして響く。
 それは、オーマだった。ただならぬ状況に気付いた彼は、咄嗟にエリザベートを助けようと飛び込んだのだった。
 そのまま、エリザベートを抱え込むようにして、そして、気づく。
 自分も泳げなかったということに。

 結局、溺れかかった二人を女性とは思えぬ力を発揮したメリッサが助け上げ、二人は事なきを得た。
 本人たちにとってみればとんでもない話だが、この日のことはプール開きの際のネタとしてしばらく語り継がれるのだった。
*  *  *

 休校日に魔法学校の寮生であるプルク・ロアシーノは、自分も含めて6人の友達と、少し離れた山の中に来ていた。
 目的は、この間の探索で見つけた洞窟探検だ。
「ほらあそこだ!」
 プルクが崖を指差した。
 上の方の岩に裂け目があるようだが、ここからだと良く分からない。
「見てきますね」
 イーリャ・ハインリッヒが魔法で浮いて、裂け目にランタンの光を入れながら覗きこんだ。
「ホントです。洞窟になってます」
「ロープ結んでおきましょう」
 貴族で、年長者のアリス・ディーダムも、風の魔法で浮いて、他の子が上り下りしやすいように、ロープを結んでおいた。
「それじゃ、探検の前に作戦ターイム」
 言いながら、プルクはリュックサックの中からお弁当を取り出していく。
 寮母さんに作ってもらった寮生のお弁当はポテトサラダだった。
「私サンドイッチもってきましたよ」
 ストンと下りて、イーリャが鞄の中からサンドイッチを取り出す。
「私もお弁当作ってきました」
 アリスも、地面に下りて石の上に座り手製のお弁当を広げた。
「それじゃ、サラダ一口あげるから、これ全部よこせ~」
 プルクがアリスのお弁当を奪おうとする。
「ダメですよ、一口なら一口分と交換です」
 アリスは自分のお弁当をしっかりガード。
「……とられないうちに、食べてしまわないと、んんっ」
 イーリャは急いで食べようとして、サンドイッチを喉に詰まらせて、苦しそうに水を飲む。
 楽しそうな皆の姿に、踊り子のファルも微笑みを浮かべた。
 だけれど、楽しいままでいるためには、ちゃんと準備をしなければいけない。
 ファルは食事を素早く済ませると、ロープを使い木に登って、洞窟の中を覗いてみた。
 光は、この裂け目からしか入り込んでいない。
 変な匂いはしないようだ。
「誰か火以外の明かりを持ってないかな? 火はやめた方がいい、狭いところで火を焚くと息がつまるんだ」
 木から下りて、わきあいあい弁当を食べている仲間達に聞く。
 洞窟探検用に露出度が低く丈夫な服は調達できたが、ファルには安全な明かりは用意できなかった。
「ランタン以外ないです。お家の照明は魔法鉱石の照明具だったんですけれど……」
 貴族のアリスが持っていないとなると、火を使った明かり以外の明かりを用意するのは難しそうだった。
「定期的に風を送るようにしますね。空気の入れ替えです。あっ、ランタンの火を消さないよう注意します」
 イーリャがそう提案した。
「うん、お願い。それじゃボクは、大地の守りの祈願を舞おう、洞窟に入るならきっと助けになる」
 言って、ファルは負傷や病原、毒を遠ざける守り――魔力を活性化させ、皆の抵抗力を上げる舞を舞った。
「みんな食べ終わったか?」
「うん」
「食べ終わりました」
 イーリャはゴミを鞄の中にしまい、アリスはお弁当箱をリュックにしまうと、立ち上がった。
「それじゃ、探検開始だー!」
「おーーー!」
 子供達は元気な声を上げて、順番に木に登り、洞窟へと入っていく。
イラスト:飛来裕夢
イラスト:飛来裕夢
 岩の裂け目の中は、6人全員で立っていられるくらいの広さがあった。
 アリスがランタンで先を照らすと、細い道が奥へと続いている。
「ここから先は一人ずつ歩いた方がいいみたいですね。逸れないよう一列になりましょう」
 一番年上のアリスが先頭を歩き、次にファル、その次にイーリャ。それからプルクと寮生の2人が続いた。ランタンはアリスとプルク、それから一番後ろの子が持っている。
「これは目印です。もし迷ったらこの目印を頼りに、出口に向かってくださいね」
 アリスは用意してきた大き目のボタンを、地面に置きながら歩いていく。
 ボタンはランタンの光でキラキラと輝く。
「入口、とても狭かったですね。大人の人が入れないということは、この中、知られてない可能性が高いんですよね……」
 ドキドキしながら、イーリャは慎重に歩いて行く。
「誰か、地図描けるかな?」
 辺りに気を配りながら、ファルが皆に聞いた。
「私がメモをとっておきますね。後ろの誰かもお願いします」
 アリスがメモ帳に簡単な地形と目印の場所を書き記す。
「ええっと、それじゃ僕も」
 5番目を歩く少年が、一枚の紙に簡単な図を描き始めた。
「頼むよ」
 ファルは自分の名前程度の文字しか書けず、ペンの扱いに慣れていない。
 そういうことは魔法学校の皆の方が得意なはずだから。
 ファルは皆の安全を守るために、辺りの状況に注意を払いつつ歩くのだった。

 細い道を数分くらい真っ直ぐ歩いたところで、道が3つに分かれていた。
 ランタンの光を向けてみると、一つは大きな石が邪魔していて、このままでは通れそうもなかったけれど、残りの2つの道は奥まで続いていそうだった。
「2手に分かれますか?」
 アリスが皆に尋ねると、
「バラバラはちょっと怖いな」
 と、5番目を歩く男の子が答えたため、とりあえず大きい方の道を皆で進んでみることにした。
「アリス、イーリャは風のようだけど、他の皆は何の魔法が使えるんだ?」
 ファルがプルク達、魔法学校寮生に目を向けた。
「俺は火で、こいつは地」
「僕は風だよ。洞窟は僕が見つけたんだ!」
 プルクが火、5番目を歩く少し気弱そうな少年が地で、最後を歩く元気な少年は風の属性の魔法が使えるらしい。
「二手に分かれる時は、持ち物の他、魔法の属性も考えて分かれた方がよさそうですね」
(あと、性格も)
 アリスは心の中でそう付け加える。
 プルクは好奇心旺盛でカッコつけたがり屋なところがあるようだ。同年代で可愛らしいイーリャの前では、故意か無意識か必要以上に張り切っている。危険に気付かず進みそうなところがあった。5番目を歩く子はおっとりとしていて、辺りに気をとられているうちに、置いて行かれそうになる時がある。
「この道、どのくらいまで続くんでしょうね。まさかお宝が……! なんて、お話のようなことは起きたりしないでしょうけれど、どこかに繋がっていたりするのでしょうか」
 イーリャは周囲を見回すが、物語の中に出てくる怖いモンスターとか、罠などはなく、宝箱が落ちていたりもしない。
 だけれど、今進んでいる道はどんどん広くなっていて……どこかに繋がっているのではないかと、わくわく胸を高鳴らせる。
「普段入れないようなところに行けたり、景色がきれいな所に行けたらいいですよね」
「うん、綺麗なところ見つけたらさ、今度はそこで弁当食べようぜ!」
「そうですね。ピクニックです」
 イーリャとプルクが楽しそうに微笑み合う。
 道はとても長く、今回の探検はこの道だけで終わってしまいそうだった。
*  *  *

 静まり返った森の真ん中に、ぽつんとヴォルク・ガムザトハノフは立っていた。
「……」
 ヴォルクの目には、燃えさかる火のような、美しくも情熱的な色合いの鉢巻きがされている。
 これは、「見ない修行」だ。
 見えるものに頼り、トリックにごまかされない真の力を手に入れるための修行。空気のわずかな振動を聞いて、事態の本質を見極めるための、あまりに険しい修練。

『これからは、明りなくして“風”だけを感じてものをみよう』
 そう思い立ったのは良かったものの、このなかなか成就しない。当然だ。五感の中でも大きな役割を果たしている視覚を遮断しているのだ。
 体力の消耗は異常。立ち、周囲の風の変化に気をやるだけ。ただそれだけなのに、ずっしりとした疲労感がヴォルクの身体をいっぱいにする。
 KGBとヴォルクが名付けたこの術は、未だ完成には遠かった。

 遠くから、父の声が聞こえる気がした。
『苦しいか、ヴォルク』
 苦しいに決まっている。先人のいない技。完成するかも分からない技。
 ヴォルクはどんどんと、風へと意識を研ぎ澄ましていく。
『苦しい時こそ、笑え!』
 この声は、違う。風の声ではない。これは、ヴォルクの中に眠る、父の声だ。
 違う。聞きたいのはその声ではない。
 本物の――空の上にいる、父の声を――!

『あの洞窟、水の神殿に繋がってたなんてなぁ』
「!!」
 ヴォルクは驚いて振り返る。もちろん、鉢巻をしたままであるから、何も見えてはいない。
『この本、何が書かれてるんでしょうね』
 たしかに、子どものような声が聞こえる。しかし、こんな森の深いところまで人間がやってくるか? だとしたら、妖精の噂話……?
『昔の文字のようですね……日記帳?』
 いや、考えすぎだ。森の中に妖精がいるだなんて、そんなことは。だとしたらこれは、街の中の会話がここからでも聞こえている、ということ……。
「やったっ……!」
 成功した……!
 ヴォルクは、そのまま腰を抜かしたように崩れ落ちて、暗闇の中で天を仰いだ。
「父さん――笑って、いいよね!」
『苦しい時に、笑えと言っただろう』
 父の苦々しい声が聞こえる。
『修行に終わりはない――ほら、続けるぞ』
「ちょっと休憩」
 ヴォルクはそのまま、草むらに身体を預けた。

 完成したんだ。KGBが、ようやく――!
 叫びだしたい気持ちと、これまでの修行の疲労が一度に押し寄せて、ヴォルクは小さく「やった」ともう一度つぶやいた。それから、鉢巻を外すことさえ忘れて、しばらくぶりに深い眠りについた。

「あれ?」
 すでに夢の中へと旅立ったヴォルクのもとに、足音が近づいてきた。
「ヤバイ、厨二病患者のヴォルクだ!」
「今の会話、聞かれちゃったかな……?」
 寮生の2人が、しゃがんでヴォルクを見た。
「目隠しして、良く眠ってるようだ」
「じゃ、大丈夫だね」
「よし、帰って作戦会議だ!」
 そう言って、彼らは草むらを後にした。

 ヴォルクのKGB修行は、終わることなく続いていく。


個別リアクション
『広い道の奥の部屋』 『見えない希望』 『脱走計画』 『少女の誘惑1』 『少女の誘惑2』 『少女の誘惑3』 『策略家?』



■連絡事項
トゥーニャ・ルムナさん
事件の容疑者として、堅牢な建物に捕まっていますため、次回は囚人としての行動となります。
社会的信用度のある人物(もしくは信頼の値が高い)友人が身元引受人になってくれた場合、解放されると思われます。

オーマ・ペテテさん
夜間の照明の件ですが、具体的な開発案や、打上げに携わりたい場合は、次回はメインシナリオへご参加ください。
案だけをご提案いただき、ご自身はサイドの事件に協力していただける場合は、このままサイドをご選択ください。
どちらの場合も提案先は警備隊が良いかと思います。
もちろん、提案は見送り、温泉での行動等、上記とは関係のない行動をお選びいただいても大丈夫です。

■第2回選択肢
・洞窟の探索(前回関わった人、もしくは情報を得ている人、または前回関わった人の紹介のみ)
・脱走した犯罪者関連の治安維持活動
・温泉、温水プールを利用する、覗く
・魔法学校の寮で過ごす
・領主の館の外れにある堅牢な建物の大掃除に関わる(前回この外れの館に関わった人のみ)
・~に聞きたい事がある!(サイドのストーリーに関係のある人物、話題限定)
・その他前回の続きの行動(サイドのストーリーに関係ある行動限定)

担当させていただきました、川岸満里亜です。
初めましての方も、お久しぶりの方も、いつもお世話になっておりますの方も、こんにちは! お会いできてうれしいです。
皆様と一緒に、真剣に楽しくお話を描いていきたいと思います。

この度はメインシナリオサイド1回『滅びを望む者たち 第1話』にご参加いただき、ありがとうございました。
今回は共通リアクションの温泉のシーンは鈴鹿マスター、最後の洞窟探索後のシーンの執筆は東谷ライターにご協力いただいております。
構成と個別は全て川岸が担当させていただきました。

メインシナリオ/サイドは、グランドと同じく全8回となりますが、『滅びを望む者たち』のストーリーは全4話となります。
遅れがなければ、5回から新展開になるかと思いますため、次回からはもっと飛ばして行きたいなぁと思っています。

マテオ・テーペではダブルアクションを禁止させていただいております。
PC間の相談等をリアクション上で行いますと1ターン消費してしまいもったいないです。
掲示板などで相談可能なことは、アクション前に済ませておくことをお勧めいたします。

尚、『滅びを望む者たち』では、NPC名簿に登場しているNPCのうち、以下のNPCについては取り扱う予定がございません(話題にあがることはあります)。
こちらのNPCはメインシナリオ/グランドで描かれますので、関わりたい方はグランドへのご参加をお勧めいたします。

ルース・ツィーグラー(ウォテュラ王国の姫)
アシル・メイユール(領主)
アンセル・アリンガム(ウォテュラ王国元騎士)
アイザック・マクガヴァン(公国騎士団長)

また、グランドのストーリーに関わるご提案も、サイドでは結果をお返しできませんので、グランドでお願いいたします。
とかいって、グランドに皆さんが移動してしまうと、サイドが回らなくなりますので、メイン1回に参加しなかった、もしくはグランド参加者の方でこちらも読んでるあなた!
思い切ってサイドに来てみませんか?

第2回のメインシナリオ参加チケットの販売は3月22日(水)から3月28日(火)3月29日(水)を予定しております。
アクションの締切は3月29日(水)3月30日(木)の予定です。
詳しい日程につきましては、公式サイトお知らせ(ツイッター)や、メルマガでご確認くださいませ。
※当初の予定より、1日延長となりました。

それでは引き続きどうぞよろしくお願いいたします!